遺言書は、相続が開始したときに遺産分割を円滑に進めるうえで役に立ちますが、注意すべき点もあります。今回は、作成した遺言書の内容が法的に有効なのか、また、いつまで有効なのかなど、遺言書の作成や保管にあたって注意すべき点について紹介します。
遺言書の内容にも注意が必要!法定遺言事項とは?
遺言は財産の分け方などについての生前の意思表示です。
その内容を記した遺言書の作成については、『公正証書遺言』や『自筆証書遺言』など、法律によって厳格に定められています。
この法律に従って正しく作成していなければ、遺言が無効になることもあります。
ほかに、遺言書の記載内容についても法的な効力をもつ事項が定められており、これを『法定遺言事項』といいます。
法定遺言事項以外の事項を記載しても、その内容には法的な効果は生じません。
この法定遺言事項は、相続に関する事項、その他の財産に関する事項、身分に関する事項、遺言の執行に関する事項に分類されます。
主な内容は次の通りです。
まず、相続に関する事項には、相続分の指定または第三者への指定の委託、遺産分割方法の指定または第三者への指定の委託および遺産分割の禁止、推定相続人の廃除または廃除の取り消し、遺留分侵害額の負担割合の指定などがあり、そのほかの財産に関する事項には、遺贈、信託の設定などがあります。
また、身分に関する事項には、非嫡出子の認知、未成年後見人や後見監督人の指定があり、遺言の執行に関する事項には、遺言執行者の指定または第三者への指定の委託などがあります。
なお、法的遺言事項以外の内容は、法的な効果は生じませんが、『付言事項』として記載することができます。
なぜ遺産をこのように分けたのかなどを記載して、相続トラブルを防いだり、遺言書を通じて家族への感謝の気持ちや葬儀や納骨についての希望を伝えたりする場合などにも用いられることがあります。
後編はこちらから↓