事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことです。この成否は会社の存続に大きく影響するため、近年では次世代への承継が重要な経営課題になっています。今回は、事業承継の主な手法、事業承継の失敗事例と成功させるための対策について説明します。
事業承継の失敗事例から学ぶ【失敗の要因】と【成功させる秘訣】
事業承継は、必ずしもうまくいくとは限りません。
親族トラブルや派閥争いにより後継者が経営権を行使できない、経営者が誰にも相談しないで事業承継を進めた、承継後も経営の実権を渡さないなどの要因で、失敗したケースがあります。
具体的な事例を紹介しましょう。
①準備不足のケース
経営者が病気になり、急遽代表権を役員の弟に譲ったが、弟も健康に不安を抱え適切な経営判断ができない状況に。親族に後継者がおらず、会社の存続が困難になった。
②親族トラブルのケース
経営者が引退時に、後継者の長男と、経営に関与していない次男に株式を譲渡。会社の経営方針の重要な株主総会決議に、次男が賛成しないことで、円滑な会社運営が困難となり、結果として、会社は業績不振に陥った。
これらの事例を元に対策を考えてみましょう。
まず、経営者が体調を崩してからでは思うように話を進めることができません。健康なうちから準備を始めたほうがよいでしょう。
また、社内派閥トラブルや相続トラブルが予想されるようであれば、事前に対応策を考えておきましょう。あらかじめ後継者へ株式を集中させておくことで、経営に関するトラブルを未然に防ぐことができる場合もあります。
親族や社内に適切な後継者がいない場合、近年では有力な選択肢としてM&Aによる事業承継も注目されています。会社の経営状態やご本人の体調などが安定しているうちに、事業承継の成功に向けて万全の準備をしておきましょう。
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~前編~ 税理士が経験してきた事例をもとに解説! 『成功させる事業承継』