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親の死後に揉めないための「合意の証」|遺産分割協議書がないと困る3つの理由

親の死後に揉めないための「合意の証」|遺産分割協議書がないと困る3つの理由

2026.02.16

相続・事業承継

相続手続きにおいて遺言書がない場合、故人の財産を「誰が・何を・どれだけ」引き継ぐかを相続人全員で話し合って決めなければなりません。

この話し合いを「遺産分割協議」と呼び、その合意内容を正式に記録した書面が「遺産分割協議書」です。今回は、単なる手続き書類に留まらない、この書面の重要な役割と作成時の注意点を解説します。

なぜ作成が必要なのか?遺産分割協議書の法的効力と役割

遺産分割協議書は、相続人全員の合意に基づいて遺産の分け方を明文化したものです。全員が署名し、実印を押印することで、その内容は正式に確定します。

この書面を作成する主な目的には、以下の3点があげられます。

  1. 「言った・言わない」のトラブル予防 合意内容を明確に残すことで、協議成立後に内容を蒸し返したり、感情的な対立から争いに発展したりするリスクを抑えられます。
  2. 各種名義変更における「証明書」 不動産の相続登記(義務化への対応)や、預貯金・株式の名義変更など、対外的な手続きを行う際の必須書類となります。
  3. 相続税特例の適用(節税の要件) 「小規模宅地等の特例」など、税負担を大幅に抑えられる特例を適用して申告する場合、その分割内容を証明する書類として添付が求められます。

一度成立した協議内容は、原則として一方的に覆すことはできませんが、相続人全員の同意があれば再協議を行うことも期待できます。

相続関係を説明する家系図と現金のイメージ画像

失敗しないための記載事項と実務上の注意点

協議書には、形式的な不備があると手続きに使えない可能性があるため、正確な記載が求められます。

  • 財産の特定を正確に行う 不動産は登記簿通りに、預貯金は銀行名・支店名・口座番号まで、通帳の記載通りに正確に記述します。
  • 相続人全員の関与 相続人が一人でも欠けた協議は無効となります。未成年者が含まれる場合は、特別代理人の選任が必要になるケースがあるため注意が必要です。
  • 実印と印鑑証明書 全員が住所・氏名を自署し、実印を押印します。あわせて、全員分の印鑑証明書の添付が必要となります。

トラブルを未然に防ぐ「予備的条項」のすすめ

実務において推奨されるのが、「後から判明した財産」への備えです。 協議の時点で把握できていなかった遺産が後日見つかった場合に、「誰が取得するか」をあらかじめ定めておくことで、再び全員で集まって話し合う手間を省ける可能性があります。

遺産分割協議書は、円満な相続を実現するための重要な「証拠」です。財産の特定が難しい場合や、相続人間で意見の調整が必要な場合には、実務に精通した専門家へ相談し、適切な書面を作成することが将来の安心につながります。

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