相続財産に株式がある場合、株式の相続は預貯金などの財産と比べて評価および手続きが複雑になります。今回は、株式の相続に必要な手続きや評価方法の説明と、未受領の配当金がある、管理している証券会社がわからないなどの場合の対応について紹介します。
未受領の配当金を受け取るには時効前に早めの手続きを
後編では、株式の相続において、株式に未受領の配当金がある場合や口座のある証券会社がわからない場合は、どのように対処すればよいでしょうか。
相続した株式に未受領の配当金がある場合、通常は名義変更の際に発行会社の株主名簿管理人となっている信託銀行などの金融機関で手続きを行います。
ただし、上場会社では定款で配当金の時効を3年や5年と定めていることが多いので、この期間を過ぎると請求できなくなります。
また、株式を預けている証券会社がわからない場合には、「証券保管振替機構(証券を預かって管理している機関)」に問い合わせて、どこの証券会社と取引があるのか開示してもらうことができます。
この開示請求を行うには、開示請求書のほかに、相続人の本人確認書類と戸籍謄本、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本など、または法定相続情報一覧図、被相続人の最後の住所がわかる資料などが必要になります。
なお、株式の相続手続きをしないでいると、株式は相続人全員の「準共有」状態となります。
この場合、議決権など株主権を行使するには、相続人のうち1人を「権利行使者」として定め、株式発行会社へ通知しなければならず、また、配当金は受け取るたびに相続人の間で分配しなければなりません。
放置するとこうした手間もかかるので、早めに相続手続きをするのがよいでしょう。
株式の相続は、ほかの財産と比べて手続きが複雑なため、相続開始前から取引のある証券会社の窓口などで確認しておくことが大切です。
株式の評価の方法はむずかしく、特に非上場株式の場合は専門家に相談することをおすすめします。
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