老後資金について、公的年金として受け取る夫婦2人分の老齢年金を柱として生活設計をしている家庭が多いと思われます。今回は、年金生活をしている夫婦のどちらか一方が亡くなった場合に、どのような年金を受給できるのかについて紹介します。
老齢年金と遺族年金の金額を試算して万が一に備える
年金受給にあたっては、原則として支給事由が異なる複数の年金を受給できませんが、「老齢基礎年金と遺族厚生年金」、「老齢厚生年金と遺族厚生年金」は、65歳に達している場合に限って特例的に併給されます。
ただし、遺族厚生年金は老齢厚生年金より年金額が高い場合に、老齢厚生年金に相当する額が支給停止となり、その差額が支給されます。これは、高齢の遺族に対する年金給付について、自分自身が納めた保険料を年金額に反映させる趣旨です。
それでは、遺された配偶者は、年金だけで暮らしていけるでしょうか。
先の厚生労働省の概況では、遺族年金受給者の平均年金月額は、令和3年度末で、国民年金が8万4,349円、厚生年金保険(第1号)が8万2,371円(併給される遺族基礎年金の額を含む)となっています。
また、総務省の『令和4年家計調査年報』では、65歳以上の単身の無職世帯の支出の平均月額は15万5,495円、収入の平均月額は13万4,915円(うち社会保障給付は12万1,496円)で、家計収支は2万580円の赤字となっていました。
よって一般的には、遺された配偶者が老齢年金と遺族年金の公的年金だけで老後の生活を支えていくことは困難だといえそうです。
遺された配偶者の老後の生活設計を考える際に、遺族年金がいくらもらえるかは重要です。老齢年金だけではなく遺族年金の年金額も試算したうえで、老後の単身生活をまかなっていくための資金を確認・準備していきましょう。
前編はこちら↓
~前編~年金生活で、夫婦どちらかが先に亡くなった場合に受け取れる年金は?