2,500万円まで贈与税がかからず、贈与した財産を相続時に相続財産に加算して相続税で精算する『相続時精算課税制度』に、2024年1⽉から年間110万円までの基礎控除が認められました。本制度のメリットやどのような場合に活⽤するのがよいか解説します。
『相続時精算課税制度』を使うべき︖ 使うべきでない︖
相続時精算課税制度は、どのような場合に利⽤するのがよいでしょうか。
まず、贈与する財産を含め、相続財産が相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続⼈の数)の範囲内に収まる場合です。
この場合には、⽣前贈与をしても相続時に相続税がかかることはありません。
次に、年間110万円を超えて多額の贈与をする場合です。
暦年課税制度では、年間110万円までの贈与は⾮課税ですが、超過累進課税のため贈与額が多くなるほど税率が⼤きくなります。
そして、将来値上がりしそうな財産などがある場合です。
贈与した財産は、贈与時の価格で課税されるため、相続税が抑えられます。
収益を⽣む財産がある場合も、贈与すれば収益は受贈者に移転するため、相続財産の増加を抑制できます。
これらに対して、本制度の利⽤をおすすめできない場合もあります。
たとえば、⼀度、相続時精算課税制度を選択すると、同じ贈与者からの贈与は暦年課税制度に戻すことができなくなります。
また、⼦や孫などに⾃宅を譲りたい場合に、本制度を使うと、相続時に、⼀定の要件のもとで⾃宅などの宅地を相続したときに、相続税評価額が最⼤80%減額される⼩規模宅地等の特例を適⽤することができません。
今回の改正でメリットが増えた相続時精算課税制度ですが、使う状況やタイミングによっては思うような節税効果につながらない場合もあります。
利⽤する場合には、専⾨的な知識も必要になるため、贈与者の資産状況を正しく把握したうえで、相続に詳しい専⾨家への相談をおすすめします。
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