相続財産に株式がある場合、株式の相続は預貯金などの財産と比べて評価および手続きが複雑になります。今回は、株式の相続に必要な手続きや評価方法の説明と、未受領の配当金がある、管理している証券会社がわからないなどの場合の対応について紹介します。
株式を相続する手順。上場と非上場で評価方法が違う
相続財産に株式が含まれている場合、次のような手順で株式を相続します。
①故人が取引を行なっていた証券会社へ相続開始日時点での残高証明書の発行を依頼します。
②相続人が複数いる場合で遺言書がない場合は、遺産分割協議を行います。並行して株式などの相続財産の評価をしておきます。
③上場株式については、相続する人が決まったら、証券会社で名義変更手続きをします。なお、名義変更をするには、相続人名義の口座が必要となります。非上場株式の場合は、その会社の定款で定められた方法で名義変更手続きをします。
④相続財産が基礎控除額を超える場合、申告期限(被相続人の死亡を知った日の翌日から10カ月以内)までに相続税の申告・納付を行います。
⑤名義変更完了後、相続した株式を売却できるので、売却か、そのまま保有かを検討します。
次に、株式の評価方法について簡単に紹介します。上場株式の場合は「課税時期の最終価格×保有株数」で評価します。
なお、課税時期の最終価格が
①相続開始月の毎日の終値の月平均額
②相続開始月前月の毎日の終値の月平均額
③相続開始月前々月の毎日の終値の月平均額
のうち最も低い金額を超える場合は、その最も低い価格により評価します。
また、非上場株式の評価方法には、大きく、原則的評価方式の3種類があります。
①純資産価額方式
②類似業種比準方式とその折衷方式
③配当還元方式(特例的評価方式)
原則的評価方式と特例的評価方式のどちらを適用するかは、任意に選べるものではなく、会社の種類や株主の種類などにより定められています。
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