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【口座凍結】葬儀費用が出せない?遺産から最大150万円を引き出す「2つの仮払い制度」

【口座凍結】葬儀費用が出せない?遺産から最大150万円を引き出す「2つの仮払い制度」

2026.05.14

相続・事業承継

家族が亡くなったことを銀行が把握すると、その預金口座は原則として「凍結」されます。これは、遺産が相続人全員の共有財産となるため、勝手な引き出しによるトラブルを防ぐための措置です。
しかし、口座が凍結されると、葬儀費用や故人の医療費、当面の生活費といった「急を要する支払い」ができずに困ってしまうケースが少なくありません。
そこで知っておきたいのが、遺産分割の前であっても一定額の払い戻しが認められる「預貯金の仮払い制度」です。今回は、この制度の仕組みと利用する際の注意点を分かりやすく解説します。

『凍結中でも引き出せる!「2つの仮払い手続き」』

仮払い制度を利用する方法には、実務上、以下の「2つのルート」が用意されています。必要となる金額や状況に応じて使い分けるのが一般的です。

ルート1:金融機関の窓口へ直接請求する(手軽な方法)

裁判所を通さず、各相続人が単独で銀行の窓口に申請する方法です。この方法で引き出せる金額には以下のルールが定められています。

  • 上限額の計算方法「相続開始時の預金残高 × 3分の1 × 申請する相続人の法定相続分」
  • 金額の上限: 上記の計算で導き出した金額のうち、1つの金融機関につき150万円が上限となります。

ルート2:家庭裁判所の審判を経て請求する(まとまった金額が必要な場合)

窓口での直接請求(150万円の上限)では足りない事情がある場合、家庭裁判所に遺産分割の調停や審判を申し立てた上で、仮処分の申請を行います。裁判所に必要性が認められれば、判断された金額の範囲内でまとまった資金を引き出すことが可能になります。

『手続きの流れと必要になる書類』

仮払い制度を窓口で利用する際は、金融機関指定の申請書のほかに、一般的に以下の書類の提出を求められます。なお、金融機関によって細かいルールが異なるケースがあるため、事前の確認が推奨されます。

  • 窓口で直接請求する場合の主な書類
    • 故人の出生から死亡までが確認できる連続した戸籍謄本・除籍謄本など
    • 相続人全員の戸籍謄本
    • 手続きを行う相続人の実印および印鑑証明書
  • 裁判所の審判を経る場合の主な書類
    • 家庭裁判所が発行した審判書謄本
    • 手続きを行う相続人の実印および印鑑証明書
葬儀とお金

『後悔しないために!利用時の「3つの落とし穴」』

急な出費をまかなえる便利な制度ですが、実務上は以下の3点に注意しておかないと、親族間での紛争や法律上の不利益を被るおそれがあります。

  1. 引き出したお金は「遺産の前取り」になる 仮払い制度で手にした資金は、完全に自分のものになったわけではありません。後日行われる遺産分割協議において、自分が最終的に受け取る相続分の枠から差し引かれる(精算される)ことになります。
  2. 他の相続人に内緒で進めない 法律上は単独で手続きが可能ですが、他の親族に無断でお金を引き出すと「遺産を勝手に使い込んだのではないか」と疑われ、のちの遺産分割協議が難航する原因になりかねません。事前に事情を話し、同意を得ておくことが円満な相続の鍵です。
  3. 相続放棄をする予定なら「絶対に利用しない」 故人に多額の借金があるなどの理由で「相続放棄」を検討している場合、この仮払い制度を利用してはいけません。預金を引き出して使ってしまうと、法律上「相続することを承認した(単純承認)」とみなされ、相続放棄が一切認められなくなる可能性が極めて高くなります。

『まとめ|日頃からの資産把握が最大の備えです』

口座の凍結は、相続開始直後のご遺族にとって大きなプレッシャーとなります。この仮払い制度を知識として持っておくだけでも、万が一の際のお金の不安を大幅に和らげることができるでしょう。

ただし、スムーズに制度を利用するためには、まず「どの銀行にいくら預金があるか」を家族が把握できていることが大前提となります。日頃から通帳やネット口座の情報を整理しておくことが、残された家族を救う確かな一歩となります。

具体的な引き出し可能額のシミュレーションや、他の相続人との調整でお困りの際は、実務に精通した専門家へ早期に相談することをお勧めします。

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